季刊 住宅土地経済の詳細
No.131
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| タイトル | 季刊 住宅土地経済 2024年冬季号 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 発行年月 | 令和6年01月 | 判型 | B5 | 頁数 | 40 |
| 目次 | 分類 | ページ | テーマ | 著者 |
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| 巻頭言 | 1 | 日本建築界の基層が大変なことになっている | 松村秀一 | |
| 座談会 | 2-16 | これからのマンション居住と住宅政策 | 浅見泰司・鎌野邦樹・田島夏与・矢吹周平・山崎徳仁 | |
| 論文 | 18-26 | 不動産王になった日本銀行 | 吉田二郎 | |
| 論文 | 27-35 | 相続税制改正が賃貸住宅市場へ与えた影響の分析 | 三河直斗・安田昌平・行武憲史 | |
| 海外論文紹介 | 36-39 | テクノロジーと税制 | 久住竜也 | |
| 内容確認 | 未公開 | |||
| エディ トリアル ノート | 今号では、日本銀行と不動産投資信託（REIT）との関係、相続税改正と賃貸住宅市場との関係という、不動産の金融的側面に関する２本の論文を掲載している。 ◉ 吉田論文（「不動産王になった日本銀行大規模なREIT 購入」）は、中央銀行の歴史上前例のない、日本銀行（日銀）による2010 年以降の不動産投資信託（REIT）の購入行動を分析している。REIT の買い入れは非伝統的金融政策の一環であり、日銀は上場REIT の最大の所有者の１つとなっている。REIT 購入に係る詳細は公表されていないなかで、吉田論文はREIT 投資口の購入論理やREIT 株価への影響を分析した初の研究となっている。 日銀の購入日報と日中のREIT収益率データを使用し、線形確率モデルおよびハザードモデルを用いると、日銀は、東京証券取引所（東証）の前日夜間と前場のREIT 収益率が有意に負であった場合に、REIT 投資口の購入を開始する傾向が明らかとなっている。 日銀は、夜間と前場の収益率のいずれかが正になるまで、毎日REIT 投資口を購入し続ける。一般的な株式市場の収益率は日銀のREIT 購入決定に影響を与えないが、日銀が介入を行なった日の昼休みと後場の収益率は正になりやすいことが明らかとなっている。 なお、ここでは、日銀は株式上場投資信託（ETF）と同様に昼休みにREIT の買い注文を出すと想定しているが、これは今回の分析結果と整合的である。 一方で、日銀のREIT 購入がある程度規則的に行なわれているならば、実際には日銀のREIT 購入行動を見込んだうえで、市場の投資家が購入の意思決定を行なっている可能性もあり、完全に日銀のREIT 購入によってREIT 株価が上昇したとは言い切れない側面が ある。さらには、日銀のREIT 購入論理が少しずつ市場の投資家に明らかになっていくとするならば、分析期間中においても、日銀によるREIT 購入行動や株式市場での反応に経年的に変化が生じている可能性もある。 日銀のREIT 購入行動の詳細について情報公開がされない限り難しい側面もあるが、REIT 市場をとりまく環境の変化にも着目することで、日銀によるREIT 購入プログラムのより正確な評価につながると思われる。 ◉ 三河・安田・行武論文（「相続税制改正が賃貸住宅市場へ与えた影響の分析」）は、2015年の相続税制改正に着目し、相続税制の改正が賃貸住宅市場へ与える影響を検証している。相続税制度における基礎控除額の引き下げに伴い、（支払うべき相続税額は小さいものの）相続税の新たな支払い義務者が急増し、また、従前制度における課税対象者についても支払うべき相続税額が増加した。相続税負担が増えると、不動産は相続税評価額を金融資産より抑えられるため、賃貸住宅の建設が進む可能性がある。三河・安田・行武論文は、賃貸住宅は節税目的で建てられることが多いという実務上の傾向について、因果関係にも留意して検証した研究である。 まず、相続税制改正の前後で、木造と軽量鉄骨構造の新規着工件数が約25％増加していることが明らかになっている。賃貸住宅のオーナーへのアンケート調査でも同様の傾向がみられたため、節税目的の賃貸住宅には木造や軽量鉄骨構造が選ばれる可能性が高いとしている。次に、木造と軽量鉄骨構造の賃貸住宅は、それ以外の構造の住宅と比べて、税制改正後に成約賃料が約１ % 下落したことが明らかとなっている。なお、相続税制改正によって増加する新築物件では賃料の下落は有意にはみられなかったが、既存物件（特に築４～12年の物件）では成約賃料が有意に下落することが明らかとなっている。 ただし実際には、相続税制改正による相続税額の増加分は、各世帯が保有する金融資産の状況や保有する不動産の立地等にも依存するため、相続税制改正が賃貸住宅市場へ与えた影響は一律ではない可能性がある。また、相続税制の改正により相続税の新たな支払い義務者となった場合、支払うべき相続税額は小さいため、賃貸住宅の建設に至るインセンティブは少ない可能性もある。 賃貸住宅を建設する土地所有者の行動を直接分析するのは容易ではないが、相続税制の改正によって行動変容を受けた土地所有者の属性・地域について検証することも今後の課題であると思われる。 (Ｍ・Ｓ) | |||
| 価格（税込） | 786円 | 在庫 | ○ |
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